農夫ピアズの幻想 (中公文庫)
農夫ピアズの幻想 (中公文庫)
によって W. ラングランド
農夫ピアズの幻想 (中公文庫)の詳細
本のタイトル : 農夫ピアズの幻想 (中公文庫)
作者 : W. ラングランド
ISBN-10 : 4122020395
発売日 : 1993/10
カテゴリ : 本
ファイル名 : 農夫ピアズの幻想-中公文庫.pdf
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イギリス14世紀の詩人ラングランドWilliam Langland(1330?‐1400?)の作とされる長編詩である"The Vision of Piers Plowman" の全訳。前半は本文、残り半分は訳注と解題・参考文献一覧にあてられている。ラングランドはモールバンの修道院で教育を受け、ロンドンで聖職についた人物と推定され、『農夫ピアズ』は西中部方言で頭韻を用いて書かれた。本作品のような寓意詩またはアレゴリー詩というのは、日本にはない文芸のジャンルで、ヨーロッパ中世によく使われた形式であった。例えば「美」「貞淑」「恩寵」などの抽象的な観念が、人間の姿をして行動したり発言したりするので、慣れるまで読みにくさを感じるだろう。作者ラングランドが夢の中で、「荒野の中の暗い谷間、民草のあふれる野原」、そこで繰り広げられるさまざまな出来事を目撃する、という簡単な設定である。12歌に分けられ、筋はあるようでないようなものだ。ピアズは荘園の雑用に使われる誠実な農夫で、第6歌で初めて顔を出す。当時の教会やイギリス社会の堕落と腐敗を諷刺した内容であり、そのような環境で真のキリスト教徒として生きるために何を信じなければならないかを教える、という目的がある。ラングランドは聖書の教えでは押さえられない農民の不満を感じ取り、俗界と宗教界の指導者自身が商業の影響から逃れることに救いを求めた。プロテスタント文学の代表であるジョン・バンヤン『天路歴程』を200年も前に先取りした作品として注目に値する。
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