カレーライスと日本人 (講談社現代新書)

カレーライスと日本人 (講談社現代新書)の詳細

表紙には次の記載がある：「日本人はなぜカレーが好きなのだろう。」そう、まさに私もその点が知りたい。日本食としてのカレーがどうして好きなのか、である。私は最終章「日本人はなぜカレーが好きなのか」へと一気にページを飛ばした。筆者は相当に文面を引っ張る。最後の最後まで引っ張る。本の終わりの数ページで次のように言うのだから：「見てきたことは、いわば日本のカレーの流れ、もしくは生き残ってきた条件、歴史みたいなものだった。まだ、なぜ好きなのかという問いの答えにはなっていない。」(P213)なんとなく思ったのは、著者もリサーチを通じていずれ回答に辿り着くだろうという希望的観測を持って始めた本の執筆だったのではないか。でもそれがどんなに調べても、どんなに考えても、日本人のカレー好きの明確な理由が見つからないのだ。最後の数ページで著者はご自身の中で思い当たるところを読者に共有するが、それは読んだ人のみぞ知るということで該当ページの記載のみにとどめておこう（P218-219)。日本人のカレーライス好きに関して読んだのはこれで三冊目だ。簡単には答えを見出せそうにないようだ。